青い星型の花が特徴的なボリジ。古くからハーブとして利用されており、近年では様々な体に良い成分がボリジから見つかっており、科学的にもハーブとしての効果が認められ始めています。今回は、そんなボリジの効能や効果をご紹介していきます。
風邪やストレス、肌トラブルでお悩みの方、月経前症候群に苦しんでいる方、ボリジには様々な効果があるかもしれません。また、ガーデニング初心者の方にも育てやすい植物なので、お庭や室内で育ててみるのもおすすめです。
ボリジの基本情報
ボリジとは
ボリジは、ムラサキ科の一年草または短命な多年草です。学名は「Borago officinalis」といいます。原産地は地中海沿岸地域で、古代ローマ時代から利用されてきました。日本では「ルリヂシャ」とも呼ばれています。
ボリジの特徴は、なんといってもその美しい青い星型の花です。花の色は濃い青色から薄い青色まで様々で、時にはピンクや白色の花を咲かせることもあります。花の中心には黒い雄しべがあり、コントラストが美しいです。
ボリジの特徴
ボリジの茎や葉には細かい毛が生えています。この毛は触るとチクチクすることがあるので、扱う際は注意が必要です。葉は楕円形で、緑色をしています。
ボリジは比較的大きく育つ植物で、高さは60cmから90cmほどになります。茎は中空で柔らかいため、支柱を立てて育てることが多いです。
花期は春から夏にかけてで、長く楽しむことができます。また、ボリジは蜜が豊富なため、ミツバチやチョウなどの昆虫を引き寄せる効果があります。そのため、ガーデニングでは他の植物の受粉を助けるコンパニオンプランツとしても活用されています。
ボリジの効能・効果
風邪症状の緩和
ボリジには風邪の症状を緩和する効果があると言われています。これは、ボリジに含まれるカルシウムやカリウムが豊富に含まれているためです。
ボリジには解熱作用、抗炎症作用、発汗作用があります。ハーブティーとして飲用することで、熱を伴う風邪の初期症状に対して効果を発揮する可能性があります。
また、ボリジに含まれる粘液質は喉の痛みを緩和する働きがあります。さらに、インフルエンザなどの感染症の予防にも有効かもしれません。
ボリジの葉に含まれているビタミンCも注目です。ビタミンCは抗酸化作用によって免疫機能を保持する他、免疫機能を高めたり抗ウイルス作用を持つ可能性が報告されています。
肌トラブルの改善
ボリジには肌荒れなどの湿疹を改善する効果があるといわれています。これは、ボリジの種子に含まれるγリノレン酸に、湿疹やアトピー性皮膚炎を抑える効果があるためです。
γリノレン酸は、イギリスやフランスでは医療品としてアトピー性皮膚炎の治療に用いられることがあります。γリノレン酸を多く含むものとして月見草油が知られていますが、ボリジの種子から得られるボラージオイルには月見草油の約2倍のγリノレン酸が含まれています。
ボリジオイルを使用した化粧品や、ボリジティーを飲用することで、肌トラブルの改善が期待できるかもしれません。ただし、効果には個人差があり、また使用方法によっても効果は異なる可能性があります。
ストレス軽減効果
ボリジには、ストレスを軽減する効果があるかもしれません。古代ローマ時代から、ボリジティーは気持ちを高め、勇気を与えてくれるハーブとして利用されてきました。
現在でもボリジティーは副腎の働きを助けることで、アドレナリンなどの副腎皮質ホルモンの分泌バランスを整える働きが期待されています。これにより、やる気を高めたり気分を改善する効果があるのではないかと考えられています。
ストレスで副腎が疲弊してくると、体を守るためのホルモンの分泌が滞ることが分かっています。副腎機能を整えてくれるとすれば、ストレス軽減に繋がる可能性があります。
ボリジの葉に含まれているビタミンCも、ストレス軽減に関係しているかもしれません。ビタミンCの不足は副腎皮質疲労の原因となり、副腎皮質ホルモンの分泌を低下させる、つまりストレス抵抗力を低下させることが指摘されています。
月経前症候群(PMS)の緩和
ボリジの種子にはγリノレン酸が豊富に含まれることから、月経前症候群(PMS)の症状を改善する効果があるといわれています。
近年の研究で、月経前の胸の張りやイライラなどの月経前症候群を訴える女性の多くは、γリノレン酸の血中濃度が低いことがわかりました。また、体内のγリノレン酸量が少ないとホルモンバランスが保ちにくいとも言われています。
ボリジオイルを摂取することで、γリノレン酸を補給し、PMSの症状を緩和できる可能性があります。ただし、効果には個人差があり、また摂取量や方法によっても効果は異なる可能性があります。
ボリジの育て方
種まきの方法
ボリジは種から育てるのが一般的です。種まきの時期は、寒冷な地域では春まき(4~5月頃)、それ以外の地域では秋まき(9~10月頃)がおすすめです。
種まきの方法は、直まき(花壇や植木鉢に直接まく)か、ポットにまくのがよいでしょう。ボリジの種は大きくて発芽しやすいので、種まき初心者でも育てやすい植物です。
種をまく際は、土の表面に軽く押し付けるように置き、薄く土をかぶせます。水やりをして、発芽するまで土が乾かないように管理します。発芽までの期間は約1週間から10日程度です。
春まきにすると、初夏から夏にかけて花を咲かせます。秋まきにすると、大きく育ち、翌春に花を咲かせます。
植え付けのコツ
ポットで育てた苗を地植えにする場合は、苗が10cm程度に育ったら植え付けます。植え付ける際は、以下のポイントに注意しましょう。
まず、植え付け場所の選定が重要です。ボリジは日当たりのよい場所を好みます。ただし、真夏の強い日差しは避けた方がよいでしょう。
土壌は水はけのよい肥沃な土が適しています。粘土質の土の場合は、腐葉土や川砂を混ぜて改良するとよいでしょう。
植え付ける際は、苗の周りの土を崩さないように注意しながら、ポットと同じ深さに植えます。植え付け後は十分に水やりをして、根が活着するまでしっかりと管理します。
株間は30cm程度空けるのがよいでしょう。ボリジは大きく育つので、十分なスペースを確保することが大切です。
日々の手入れ
ボリジの日々の手入れは比較的簡単です。以下のポイントに注意して育てましょう。
水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。ただし、水のやりすぎには注意が必要です。根腐れの原因になる可能性があります。
ボリジの茎は中空で倒れやすいため、生育期に入った頃に支柱を立てて、麻ひもかビニタイで誘引しておくとよいでしょう。
花がらは、終わった花を花茎の元から摘み取ります。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
枯れ葉はいつまでも放置すると、病害虫を引き寄せる原因になります。見つけたらまめに整理しておきましょう。
真夏は土壌の乾燥や高温化を防ぐために、バークチップなどを株元に敷き詰めるマルチングをしておくとよいでしょう。また、真冬は霜よけとして、同様にマルチングをしておきます。
病害虫対策
ボリジは比較的丈夫な植物ですが、いくつかの病害虫に注意が必要です。
うどんこ病は、葉に白い粉をふいたような症状が現れます。発生を予防するには、風通しをよくし、株間を適度に空けることが大切です。発生した場合は、罹患した部分を取り除き、殺菌剤を散布します。
アブラムシは、新芽や花茎に群がって吸汁します。発生初期に見つけたら、水で洗い流すか、市販の殺虫剤を使用します。
ナメクジやカタツムリも、ボリジの葉を食害することがあります。これらは夜行性なので、夜に見回って駆除するか、市販の薬剤を使用します。
病害虫の予防には、日頃から株の観察を行い、早期発見・早期対策を心がけることが大切です。また、適切な水やりや肥料管理、清潔な環境維持も重要です。
ボリジの利用方法
ハーブティーの作り方
ボリジティーは、ボリジの葉や花を使って簡単に作ることができます。以下は基本的な作り方です。
まず、乾燥させたボリジの葉を用意します。小さじ山盛り1杯程度(約2〜3g)を、ティーポットに入れます。これにカップ1杯分(約200ml)の熱湯を注ぎます。
蓋をして2〜3分ほど蒸らします。好みの濃さになったら、茶こしを通してカップに注ぎます。
ボリジの花を使う場合も同様の方法で作れます。花は乾燥させたものでも生のままでも使用できます。青い花を使うと、きれいな青色のハーブティーになります。
ボリジティーは、レモングラスとブレンドするのがおすすめです。レモングラスのさわやかな香りが、ボリジの風味によく合います。また、レモングラスには抗菌・殺菌作用があり、風邪の予防効果もあるので、ボリジの働きを助けてくれます。
料理への活用法
ボリジは、エディブルフラワー(食用花)としても利用できます。サラダに飾って華やかさを添えたり、ケーキやデザートのトッピングに使ったりできます。花を食用にする際は、ガクを外して利用しましょう。
若い葉は、サラダやおひたし、天ぷら、スープ、バター炒めなどに使えます。ただし、ボリジにはアルカロイドが含まれているため、大量摂取は避けましょう。
イタリアの郷土料理では、ボリジ(イタリア語でボラージネ)を使った料理がいくつかあります。例えば、「ボラージネのフリット」は、ボリジの葉を軽く塩でもみ、小麦粉をまぶして揚げた料理です。揚げたてに軽く塩をまぶして食べると、ワインのおつまみにぴったりです。
また、「ボラージネのラビオリ」は、ボリジの葉をリコッタチーズと合わせてラビオリの具にした料理です。クルミとセージのソースを絡めて食べるのが一般的です。
ボリジティーは、レモングラスとブレンドするのがおすすめです。レモングラスのさわやかな香りが、ボリジの風味によく合います。また、レモングラスには抗菌・殺菌作用があり、風邪の予防効果もあるので、ボリジの働きを助けてくれます。
料理への活用法
ボリジは、エディブルフラワー(食用花)としても利用できます。サラダに飾って華やかさを添えたり、ケーキやデザートのトッピングに使ったりできます。花を食用にする際は、ガクを外して利用しましょう。
若い葉は、サラダやおひたし、天ぷら、スープ、バター炒めなどに使えます。ただし、ボリジにはアルカロイドが含まれているため、大量摂取は避けましょう。
イタリアの郷土料理では、ボリジ(イタリア語でボラージネ)を使った料理がいくつかあります。例えば、「ボラージネのフリット」は、ボリジの葉を軽く塩でもみ、小麦粉をまぶして揚げた料理です。揚げたてに軽く塩をまぶして食べると、ワインのおつまみにぴったりです。
また、「ボラージネのラビオリ」は、ボリジの葉をリコッタチーズと合わせてラビオリの具にした料理です。クルミとセージのソースを絡めて食べるのが一般的です。
ボリジの葉は、キュウリに似た爽やかな風味があります。そのため、サンドイッチの具材としても使えます。日本風のアレンジなら、さっと湯がいて和え物にするのもおすすめです。
ボリジの花は、白ワインに浮かべると美しいピンク色に変化します。これは、ボリジの花に含まれる色素が酸性に反応するためです。ハーブティーにレモンを加えても同様の効果が楽しめます。
美容への活用法
ボリジは、美容にも活用できます。ボリジの種子から抽出されるボリジオイルは、γリノレン酸を豊富に含んでいます。γリノレン酸には、肌を修復し、健康な素肌を維持する働きがあるといわれています。
ボリジオイルは、乾燥を防いで保湿し、シワ対策やフケの防止などに有効です。特に、シワ対策に効果的だといわれています。
簡単なボリジオイルの活用法として、卵黄とボリジオイルを混ぜたシワ予防パックがあります。これは、モロッコの伝統的な美容法を参考にしたものです。保湿効果が高く、しわを軽減し、老化を遅くする働きが期待できます。
また、ボリジオイルには、セルライトを軽減させる効果があるともいわれています。マッサージオイルとして使用することで、気になる部分のケアに役立つかもしれません。
まとめ
ボリジは、美しい青い星型の花を持つハーブで、古くから様々な用途で利用されてきました。風邪の症状緩和や肌トラブルの改善、ストレス軽減、月経前症候群の緩和など、多岐にわたる効能が期待されています。
育て方も比較的簡単で、ガーデニング初心者でも挑戦しやすい植物です。また、料理や美容にも活用できる多才なハーブです。
ボリジの魅力は、その美しい花だけでなく、隠れた効能にもあります。ぜひ、ガーデニングや料理、美容に取り入れて、ボリジの魅力を存分に楽しんでみてください。