まるでマリモのようなテマリソウ(手鞠草)とは?特徴や育て方などご紹介!

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阿寒湖に生息する綺麗な球状の植物、マリモ。可愛らしいフォルムで、育ててみたくなりますがマリモは特別天然記念物です。育てることはできません。しかし、マリモに酷似したテマリソウという植物なら育てることができます。今回は、そんなテマリソウの育て方をご紹介します。

テマリソウの魅力的な特徴

テマリソウってどんな植物?

テマリソウは、ナデシコ科ナデシコ属の耐寒性多年草です。学名は「Dianthus barbatus ‘Green Trick’」といいます。美女ナデシコ(ビジョナデシコ)の園芸品種として知られています。テマリソウという名前は、その花の形が手まりのように丸いことに由来しています。

見た目の特徴

テマリソウの最大の特徴は、その独特な花の形です。直径約3cmの緑色の球状の花を咲かせます。この球状の部分は、実は花弁ではありません。花弁や雌しべ、雄しべ、がく片が変化した苞葉(ほうよう)という部分です。この苞葉が集まって、まるでマリモや栗のイガのような形になるのです。

この珍しい形状と鮮やかな緑色が、多くの人々を魅了しています。切り花としても人気があり、最近では鉢植えの苗としても流通するようになりました。

花の構造

テマリソウの花は、一般的な花とは少し異なる構造をしています。通常の花では花弁が目立つ部分ですが、テマリソウの場合は苞葉が主役です。この苞葉が集まって球状になることで、独特の見た目を作り出しています。

実際の花は非常に小さく、この苞葉の中に隠れています。この構造のおかげで、テマリソウは長期間その美しい姿を保つことができるのです。

テマリソウの育て方のコツ

日当たりと置き場所選び

テマリソウは基本的に日光を好みます。しかし、真夏の強い日差しや高温多湿は苦手です。そのため、季節によって置き場所を変えるのがポイントです。

春から初夏、そして秋は、日当たりの良い場所で育てましょう。日光が不足すると、花の付きが悪くなる可能性があります。ただし、花に直接雨が当たると萎れやすくなるので、軒下など雨の当たらない場所が理想的です。

夏場は半日陰の涼しい場所に移動させましょう。風通しの良い場所を選ぶことで、高温多湿による蒸れを防ぐことができます。特に暖地では夏越しが難しいので、涼しい環境作りが重要です。

冬は寒さに強い植物ですが、根が凍ると枯れてしまう可能性があります。寒冷地では室内の日当たりの良い場所で管理しましょう。ただし、花を咲かせるためには寒さも必要なので、室内でも比較的寒い場所を選びます。

水やりのタイミングとコツ

テマリソウは乾燥に強く、過湿に弱い性質があります。そのため、水やりは控えめにするのがコツです。土の表面が乾いてから水を与えるようにしましょう。

特に夏場は水やりに注意が必要です。株が蒸れやすいので、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりをします。水やり後は地面に水が残らないよう、よく水はけのする環境を整えることが大切です。

冬は水やりの頻度を減らします。土が凍るほど寒い地域では、根が傷まないよう注意が必要です。室内で管理する場合は、暖房で乾燥しすぎないよう気を付けましょう。

土と肥料の選び方

テマリソウは水はけの良い土を好みます。市販の花と野菜の培養土に、パーライトや川砂、軽石の小粒を1割ほど混ぜると良いでしょう。これにより、水はけが良くなり、根腐れを防ぐことができます。

肥料は控えめに与えます。植え付け時に緩効性の肥料を土に混ぜ込んでおくと良いでしょう。生育期間中は、2週間に1回程度、液体肥料を薄めて与えます。ただし、肥料を与えすぎると花が咲きにくくなるので注意が必要です。

もし葉ばかり茂って花が咲かない場合は、肥料過多の可能性があります。その場合は、しばらく肥料を控えめにしてみましょう。

剪定と管理のポイント

テマリソウは定期的な剪定と管理が大切です。花がしぼんだら、こまめに花がらを摘みます。これにより、次の花が咲きやすくなります。

また、5月から9月にかけては、全体を軽く刈り込むのも効果的です。これは摘芯と花がら摘みを兼ねた作業になります。刈り込むことで、株がこんもりと育ち、たくさんの花を咲かせることができます。

特に夏越しの際は、古い葉を取り除いて風通しを良くし、全体を半分ほど切り戻すことをおすすめします。これにより、夏の暑さによるダメージを軽減できます。

秋になり気温が25度以下になったら、日向に戻し、肥料を再開します。こうすることで、秋から再び美しい花を楽しむことができるでしょう。

テマリソウの栽培カレンダー

春の管理

春は、テマリソウにとって成長と開花の季節です。3月頃から新芽が伸び始め、5月頃から花が咲き始めます。この時期は、日当たりの良い場所で管理しましょう。

水やりは、土の表面が乾いたら行います。肥料は2週間に1回程度、薄めた液体肥料を与えます。花が咲き始めたら、こまめに花がら摘みを行い、次々と花を咲かせるよう促します。

また、この時期は株分けや植え替えにも適しています。根が活発に動き出す前の3月下旬から4月上旬に行うと良いでしょう。

夏の管理

夏は、テマリソウにとって最も厳しい季節です。高温多湿を嫌うため、管理に注意が必要です。6月下旬から7月上旬にかけて、半日陰の涼しい場所に移動させましょう。

水やりは朝か夕方の涼しい時間帯に行い、株元に水が溜まらないよう注意します。また、この時期に全体を半分ほど切り戻すことで、夏越しの成功率が上がります。

病害虫の発生にも注意が必要です。特にアブラムシの発生が多いので、見つけたらすぐに対処しましょう。

秋の管理

秋になり気温が下がってくると、テマリソウは再び活動を始めます。9月下旬頃から、徐々に日当たりの良い場所に戻していきます。

この時期は、春と同様に水やりと肥料を再開します。ただし、夜温が下がってくるので、水やりは朝に行うようにしましょう。

10月頃から再び花が咲き始めます。花がら摘みを行い、美しい状態を保ちます。また、来年の春に向けて、株を充実させるのもこの時期です。

冬の管理

冬は、テマリソウにとって休眠期です。寒さには強い植物ですが、根が凍るほどの寒さは避けたほうが良いでしょう。

寒冷地では、鉢植えの場合は室内の日当たりの良い場所に移動させます。地植えの場合は、根元にわらや落ち葉を敷いて保護します。

水やりは控えめにし、土が完全に乾いてから与えるようにします。肥料は休止し、春を待ちます。

テマリソウの増やし方

挿し木の方法

テマリソウは挿し木で簡単に増やすことができます。挿し木に適した時期は、5月から6月頃です。

まず、健康な株から10cm程度の茎を切り取ります。下部の葉を2、3枚取り除き、切り口を斜めにカットします。この際、清潔なハサミを使用し、病気の感染を防ぎましょう。

挿し穂を水で湿らせた用土に挿します。用土は、赤玉土とバーミキュライトを1:1で混ぜたものが適しています。挿した後は、ビニール袋をかぶせて湿度を保ちます。

明るい日陰で管理し、2週間ほどで発根します。発根したら、徐々にビニール袋を外し、通常の管理に移行します。

株分けの方法

株分けは、テマリソウを増やす最も簡単な方法です。株分けに適した時期は、春か秋です。

まず、株全体を鉢から取り出します。根を傷つけないよう、やさしく土を落とします。株の中心から、自然に分かれている部分を見つけ、そこを手で分けていきます。

分けた株は、それぞれ新しい鉢に植え替えます。植え替え後は、日陰で1週間ほど管理し、徐々に日光に慣らしていきます。

株分けは、株が大きくなりすぎて鉢が小さくなった時にも有効です。2〜3年に一度行うと、健康な株を維持できます。

テマリソウの病害虫対策

よくかかる病気と対処法

テマリソウは比較的丈夫な植物ですが、いくつかの病気にかかることがあります。主な病気と対処法を紹介します。

灰色かび病:湿度が高い環境で発生しやすい病気です。葉や茎に灰色のカビが生えます。発見したら、すぐに罹患部分を取り除き、風通しを良くします。殺菌剤の使用も効果的です。

根腐れ病:過湿により根が腐る病気です。葉が黄色くなり、株全体が萎れます。予防が大切で、水はけの良い土を使い、水やりを控えめにします。罹患した場合は、健康な部分を挿し木で救済します。

うどんこ病:葉に白い粉をふいたような症状が出ます。風通しの悪い環境で発生しやすいです。罹患した葉を取り除き、風通しを改善します。重症の場合は殺菌剤を使用します。

これらの病気は、適切な環境管理で予防できることが多いです。風通しの良い場所で育て、水やりを控えめにすることが大切です。

害虫の種類と駆除方法

テマリソウに発生しやすい害虫とその駆除方法を紹介します。

アブラムシ:テマリソウに最も発生しやすい害虫です。新芽や花に群がり、汁を吸います。見つけたら、水で洗い流すか、市販の殺虫剤を使用します。

ハダニ:葉の裏に寄生し、葉を黄色く変色させます。見つけにくいので、定期的に葉の裏をチェックしましょう。発見したら、殺虫剤を葉の裏にしっかりスプレーします。

ナメクジ:夜間に活動し、葉を食べます。ビールトラップを設置したり、市販の殺虫剤を使用したりして駆除します。

これらの害虫対策には、予防が重要です。定期的に株をチェックし、早期発見・早期対処を心がけましょう。また、植物を健康に保つことで、害虫への抵抗力も高まります。

テマリソウの活用方法

庭植えでの使い方

テマリソウは、その独特な形状と鮮やかな緑色で、庭に特別な魅力を加えてくれます。庭植えでの活用方法をいくつか紹介します。

花壇の縁取り:テマリソウを花壇の縁に植えます。テマリソウの丸い形状は、花壇の縁取りに使うと独特の雰囲気を醸し出します。他の花々と組み合わせることで、立体感のある美しい花壇を作り出すことができます。

また、岩石園や石組みの隙間に植えると、自然な風合いを演出できます。テマリソウの丸い形状が、岩や石の角張った形状とコントラストを生み、独特の景観を作り出します。

さらに、テマリソウは地被植物としても活用できます。広い面積に植えることで、まるで緑の絨毯を敷いたような美しい景観を作り出すことができます。特に、斜面や段差のある場所に植えると、その立体感が際立ちます。

寄せ植えのアイデア

テマリソウは、その独特な形状と色彩から、寄せ植えの主役としても脇役としても活躍します。いくつかの寄せ植えのアイデアをご紹介します。

春の寄せ植えでは、テマリソウをパンジーやビオラと組み合わせると良いでしょう。テマリソウの鮮やかな緑色が、パンジーやビオラの多彩な花色を引き立てます。

夏の寄せ植えでは、テマリソウとペチュニアやベゴニアを組み合わせると、涼しげな印象を与えることができます。テマリソウの丸い形状が、他の花々の中で際立ちます。

秋の寄せ植えでは、テマリソウとシクラメンやガーデンマムを組み合わせると、秋らしい落ち着いた雰囲気を演出できます。テマリソウの緑色が、他の花々の色彩を引き立てます。

切り花としての楽しみ方

テマリソウは切り花としても人気があります。その独特な形状と長持ちする特性から、様々なアレンジメントに活用できます。

テマリソウを主役にしたシンプルなアレンジメントでは、ガラスの花瓶に数本のテマリソウを活けるだけで、モダンでスタイリッシュな雰囲気を演出できます。テマリソウの丸い形状が、直線的な花瓶とコントラストを生み、美しい調和を作り出します。

また、他の花々と組み合わせたアレンジメントでも、テマリソウは活躍します。例えば、バラやガーベラなどの大きな花と組み合わせると、テマリソウがアクセントとなり、全体的なバランスを整えます。

テマリソウは水揚げが良く、長期間美しさを保つことができます。切り花として楽しむ際は、茎を斜めに切り、水に浸ける部分の葉を取り除いてから活けましょう。水は浅めでも構いませんが、こまめに取り替えることで、より長く楽しむことができます。

まとめ

テマリソウは、その独特な形状と鮮やかな緑色で、多くの園芸愛好家を魅了する植物です。庭植えや鉢植え、寄せ植え、切り花など、様々な形で楽しむことができます。

育て方のポイントは、日当たりと水はけの良い場所を選び、夏の高温多湿に注意することです。適切な管理を行えば、春から秋まで長期間にわたって美しい花を楽しむことができます。

テマリソウの丸い形状は、他の花々とは一線を画す独特の魅力があります。ガーデニングや花のアレンジメントに新しい可能性を与えてくれる、魅力的な植物と言えるでしょう。

これからガーデニングを始める方も、ベテランの園芸愛好家の方も、ぜひテマリソウを取り入れてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの庭や部屋に新しい彩りを添えてくれることでしょう。

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