「私、ブスだから」「どうせ私なんて」「頭悪いしさ」──
こうした言葉を、誰かに言われたわけでもないのに、自分で自分に向かって口にしてしまうことはありませんか。
もしそれを人から言われたら、かなり深く傷つくはずなのに、
なぜか自分から先に言うと少しラクになる。
この記事では、こうした行動の背景にある心理を、
「自分を守るための防衛戦略」という視点から解説します。
結論:それは「自傷」ではなく「予防接種」に近い心理
まず結論から言うと、
「私、ブスだから」と自分に言ってしまう心理は、自分を傷つけたいからではありません。
むしろ逆で、これ以上深く傷つかないために、自分を守ろうとしている状態です。
あらかじめ一番きつい言葉を自分で言っておくことで、
他人から同じことを言われたときのダメージを軽減しようとする。
心理学的には、これは
「先制的自己否定」「予期的防衛」と呼ばれるタイプの防衛反応に近いものです。
なぜ「人から言われる前」に自分で言ってしまうのか
理由はシンプルです。
人から言われる言葉は、コントロールできないからです。
・いつ言われるかわからない
・誰に言われるかわからない
・どんな文脈で言われるかわからない
この「不確実さ」は、心にとってかなりのストレスになります。
そこで人は、
自分で先に言うことで、状況の主導権を握ろうとするのです。
自分で言えば、
・タイミングを選べる
・言い方を選べる
・心の準備ができる
つまりこれは、「傷つく未来」を少しでも制御可能な形に変える行為なのです。
「冗談っぽく言う」のも同じ防衛反応
「私ブスだし(笑)」
「どうせバカだからさ〜」
こうして笑いに変えて言う場合もあります。
これも心理構造は同じで、
本気で言われる前に、冗談として無力化してしまう戦略です。
もし誰かが同じことを言ってきても、
「もう自分で言ってるから」という形で、
心の直撃を避けることができる。
これは決して弱さではなく、
これまで傷ついてきた経験がある人ほど身につけやすい“知恵”でもあります。
ただし、この防衛には副作用もある
この方法は短期的には心を守ってくれますが、
長期的には別の問題を生みやすいのも事実です。
自分で何度も何度も言葉にすることで、
その評価が「事実」として脳に定着してしまうからです。
最初は防衛のためだったはずが、
いつの間にか
- 本当に自分はそういう人間だ
- 期待してはいけない
- 大事にされなくても仕方ない
という自己認識そのものを作ってしまうことがあります。
やめようとしなくていい。ただ「役割」を知っておく
大切なのは、
無理にこの癖をやめようとしないことです。
それは、あなたの心が生き延びるために編み出した、
ちゃんと意味のある防御反応だからです。
ただ一つ知っておいてほしいのは、
それは「真実」ではなく、「盾」だということです。
盾は、危険な場所では必要ですが、
常に握りしめていなくてもいい。
「今、自分は傷つかないために先に言ってるんだな」
そう気づけるだけで、
この言葉はあなたを縛る呪いではなく、選べる道具に変わります。
まとめ:その言葉は、あなたの弱さではない
「私、ブスだから」
「どうせ私なんて」
それは、あなたが壊れやすいから出てきた言葉ではありません。
これ以上壊れないように、必死に自分を守ってきた証拠です。
もし今日、ほんの少しだけ心に余白があるなら、
その言葉を口にする前に、そっと心の中でつぶやいてみてください。
「これは私を責める言葉じゃなくて、守るために身につけたものなんだ」
そう思えた瞬間、あなたはもう、ひとりで耐える側ではありません。
その言葉も、あなた自身も、少しだけ休んでいい場所に戻ってこれます。
