マメコガネとは?適切な駆除対策やその生態を詳しく解説!

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「マメコガネ」という昆虫をご存知でしょうか。マメコガネとは集団で植物を食い荒らす昆虫で、日本でも害虫として扱われています。ここでは、そんなやっかいなマメコガネから植物を守る為の駆除・予防方法をご紹介します。効果的な対策を行い、大切な植物を守りましょう!

マメコガネの特徴と生態

マメコガネの外見的特徴

マメコガネは、体長8〜15ミリメートルほどの小型のコガネムシです。その姿は、一見するとかわいらしく、美しいとさえ感じるかもしれません。体表には強い金属光沢があり、頭・前胸・小楯板と前翅接合部が緑色、前翅が褐色、腹側が黒緑色をしています。まるで宝石のような輝きを放つその姿は、害虫とは思えないほどです。

特徴的なのは、腹節の縁に生えている白い短毛です。これが密生しているため、体のへりに白い横じま模様があるように見えます。また、前胸・小楯板と翅の境界がV字型に切れ込んでいることや、前翅に縦のすじがあること、尾部が前翅からはみ出ていることなども、マメコガネを見分けるポイントになります。

マメコガネの生活サイクル

マメコガネの生活サイクルは、通常1年かかります。ただし、寒冷地では2年かかることもあります。成虫は主に7月から8月頃に出現し、地域によっては10月頃まで見られます。昼間に活動するのが特徴で、暑さが少し和らぐ夕方や朝方に活発に動き回ります。

成虫の寿命は気温によって大きく変動します。高温になるほど短くなる傾向があり、オスは9日〜74日(平均39日)、メスは17日〜105日(平均52日)生きます。交尾は数時間に及ぶこともあり、その間オスは採餌しませんが、メスは交尾中でも食事を続けます。

メスは性フェロモンを出してオスを誘引します。そのため、餌となる植物の上で散在するのではなく、集まって見られることが多いのです。産卵は地表から5〜10センチメートルほどの深さの土中で行われます。

幼虫は、他のコガネムシ類と同様に地中生活を送ります。主に植物の根を食べて成長し、農作物や芝生の根を食べて枯らすこともあります。このため、幼虫も成虫同様に害虫として対処される存在なのです。

マメコガネの好む植物

マメコガネは、その名前の通りマメ科の植物を好みますが、実際にはさまざまな種類の植物を食べます。特に好んで食べる植物には、サクラ、ケヤキ、クヌギ、シイノキなどの広葉樹の葉や、大豆などのマメ科植物の葉、ブドウや柿、栗の葉などがあります。

農作物では、ダイズやブドウの葉を食い荒らすことが多く、これが農業に大きな被害をもたらす原因となっています。また、園芸植物ではバラの葉を特に好んで食べる傾向があります。大切に育てているバラの葉が食い尽くされてしまうと、ガーデニング愛好家にとっては大きなショックですね。

さらに、芝生も被害を受けやすい植物の一つです。きちんと手入れをしているはずの芝生が茶色く変色していたら、マメコガネの仕業かもしれません。幼虫が地中で根を食べてしまうため、地上部分が枯れてしまうのです。

興味深いのは、マメコガネには食べる植物の優先順位があるということです。例えば、ある農園では、メマツヨイグサ(雑草)→ヤブガラシ(雑草)→ブドウ(ナイヤガラ)→マロウ(コモンマロウ、ウスベニアオイ)→ハイブッシュ系ブルーベリーという順番で好んで食べる傾向が観察されています。このような食性の特徴を理解することで、より効果的な対策を立てることができるでしょう。

マメコガネによる被害

葉への被害

マメコガネによる最も顕著な被害は、葉への食害です。成虫は葉を好んで食べ、その食べっぷりは非常に激しいものです。葉脈だけを残して葉肉をほとんど食べ尽くしてしまうため、被害を受けた植物の葉は網目状になってしまいます。

この被害は単に見た目が悪くなるだけでなく、植物の生育に深刻な影響を与えます。葉は植物が光合成を行う重要な器官です。葉が食い尽くされてしまうと、植物は十分な栄養を作り出すことができなくなります。その結果、成長が遅れたり、果実の収穫量が減少したりする可能性があります。

特に、若い植物や新芽は被害を受けやすく、完全に枯死してしまうこともあります。例えば、植え付け一年目のスモモの木に大量のマメコガネが発生し、すべての葉を食べつくされて、ほとんど裸木のような状態になってしまったという事例もあります。

花への被害

マメコガネは葉だけでなく、花も好んで食べます。特に、バラやフジなどの花を食べることがあります。花を食べられてしまうと、その植物の繁殖に影響を与える可能性があります。花が食べられると、果実ができなくなったり、種子が形成されなくなったりするからです。

また、観賞用の植物の場合、花が食べられてしまうと美しい景観が損なわれてしまいます。せっかく丹精込めて育てた花が、マメコガネによって台無しになってしまうのは、ガーデニング愛好家にとっては大きな悲しみです。

根への被害

マメコガネの幼虫は地中で生活し、植物の根を食べて成長します。根が食害されると、植物全体の健康に大きな影響を与えます。根は水分や栄養分を吸収する重要な器官なので、根が傷つくと植物全体が弱ってしまいます。

根への被害は、地上部分の症状として現れます。葉が黄色くなったり、萎れたりするのは、根が傷ついている証拠かもしれません。特に、芝生での被害が顕著です。幼虫が根を食べることで、芝生が部分的に枯れて茶色くなってしまいます。

さらに、根が弱ってしまうと、植物が倒れやすくなったり、風に弱くなったりします。特に果樹などの大きな植物では、根の被害が深刻な問題となる可能性があります。

マメコガネの駆除方法

手作業での駆除

マメコガネの駆除方法の中で、最も環境に優しいのが手作業での駆除です。この方法は、小規模な庭や家庭菜園で特に効果的です。マメコガネは動きが比較的鈍いため、手で直接捕まえることができます。

朝や夕方、マメコガネが活発に活動する時間帯を狙って駆除するのがおすすめです。植物の葉や茎をよく観察し、マメコガネを見つけたら素早く捕まえましょう。捕まえる際は、軍手をはめるなどして直接素手で触れないようにしましょう。

また、マメコガネは木を揺らすと垂直に落下して死んだふりをする習性があります。この特性を利用して、木の下に白い布やバケツなどを置き、木を揺らしてマメコガネを落とし、一気に捕獲する方法もあります。ただし、しばらくすると飛んで逃げていくので、素早く対応することが大切です。

捕まえたマメコガネは、熱湯や石鹸水に入れるなどして駆除します。ただし、生態系への配慮から、できるだけ苦しめない方法を選びましょう。

手作業での駆除は、薬剤を使わないので安全で、他の生物への影響も最小限に抑えられます。しかし、大規模な被害や広い面積での発生の場合は、労力がかかりすぎる可能性があります。そのような場合は、他の方法と組み合わせて対策を立てる必要があるでしょう。

殺虫剤を使用した駆除

マメコガネの被害が深刻な場合や、広い面積で発生している場合は、殺虫剤の使用を検討する必要があるかもしれません。ただし、殺虫剤の使用には十分な注意が必要です。環境への影響や、人体への安全性を十分に考慮しなければなりません。

マメコガネの成虫に対しては、「家庭園芸用スミチオン乳剤」などの殺虫剤が効果的です。これを水で希釈し、マメコガネが発生している植物に散布します。散布する際は、葉の裏側にもしっかりと薬剤がかかるようにしましょう。

また、マメコガネの成虫を見かけたら、その周辺の土にも卵が産み付けられている可能性があります。そのような場合は、「ダイアジノン粒剤3」などの薬剤を植物の周りの土に混ぜ込みます。これにより、土中の幼虫や、これから孵化する卵への対策も行えます。

芝生でマメコガネの被害が見られる場合は、「家庭園芸用スミチオン乳剤」の希釈液を土壌に灌注する方法があります。これにより、地中にいる幼虫にも効果を発揮します。

ただし、殺虫剤の使用には以下の点に注意が必要です。

  1. 使用する前に、必ず製品の説明書をよく読み、適切な使用方法や注意事項を確認しましょう。
  2. 散布する際は、防護服や手袋、マスクなどを着用し、皮膚や目に薬剤が付着しないよう注意しましょう。
  3. 風の強い日や雨の日は避け、天気の良い日に散布しましょう。
  4. 食用作物に使用する場合は、収穫までの期間(使用から収穫までの日数)を守りましょう。
  5. ペットや子供が薬剤に触れないよう、散布後はしばらく立ち入り禁止にするなどの対策を取りましょう。
  6. 生態系への影響を考慮し、必要最小限の使用にとどめましょう。

殺虫剤の使用は即効性があり、広範囲の対策に有効ですが、環境への影響も大きいです。可能な限り、他の方法と組み合わせて使用し、殺虫剤への依存度を下げることが望ましいでしょう。

天敵を利用した駆除

マメコガネの駆除方法として、環境にやさしく持続可能な方法の一つが、天敵を利用した生物的防除です。この方法は、マメコガネの天敵となる生物を意図的に導入または保護することで、マメコガネの個体数を抑制しようとするものです。

マメコガネの天敵として知られている生物には、以下のようなものがあります。

  1. 鳥類:多くの鳥がマメコガネを餌として捕食します。特にムクドリやカラス、スズメなどが効果的です。
  2. 昆虫:タバコカスミカメという昆虫がマメコガネの天敵として知られています。この昆虫は、マメコガネの卵や幼虫を捕食します。
  3. 微生物:土壌中に生息する特定の細菌や糸状菌が、マメコガネの幼虫に感染して死亡させることがあります。

天敵を利用した駆除方法の一例として、タバコカスミカメを利用する方法があります。この方法では、まずゴマやクレオメなどのタバコカスミカメが好む植物を栽培します。そして、これらの植物にタバコカスミカメを放飼します。そして、これらの植物にタバコカスミカメを放飼します。タバコカスミカメが定着すると、マメコガネの卵や幼虫を捕食し、個体数を抑制する効果が期待できます。

鳥類を利用する方法も効果的です。ムクドリやカラスなどの鳥がマメコガネを好んで食べることが知られています。庭に小鳥の餌台や水浴び場を設置することで、これらの鳥を呼び寄せることができます。ただし、鳥が他の植物や果実を食べてしまう可能性もあるので、注意が必要です。

微生物を利用した防除方法も注目されています。特に、バチルス・ポピリエという細菌は、マメコガネの幼虫に感染して死亡させる効果があります。この細菌を含む製剤を土壌に散布することで、マメコガネの幼虫の数を減らすことができます。

また、線虫を利用した生物農薬も開発されています。例えば、スタイナーネマ・グラセライという線虫を有効成分とする生物農薬が市販されています。この線虫は、マメコガネの幼虫に感染して殺虫効果を発揮します。

天敵を利用した防除方法は、化学農薬に比べて環境への負荷が少なく、長期的な効果が期待できます。ただし、効果が現れるまでに時間がかかることや、天敵の定着に適した環境づくりが必要なことなど、注意点もあります。

マメコガネの予防策

植物の健康管理

マメコガネの被害を予防するには、まず植物自体の健康を保つことが重要です。健康な植物は害虫への抵抗力が高く、被害を受けにくくなります。

適切な水やりは植物の健康維持に欠かせません。土壌が乾燥しすぎたり、逆に水はけが悪くなったりすると、植物が弱ってしまいます。植物の種類や季節に応じて、適切な量と頻度で水やりを行いましょう。

肥料も適切に与えることが大切です。肥料不足では植物が十分に成長できず、逆に与えすぎると軟弱に育ってしまい、害虫の被害を受けやすくなります。植物の種類や生育段階に合わせて、バランスの取れた肥料を与えましょう。

また、定期的な剪定も重要です。適切な剪定は植物の形を整えるだけでなく、風通しや日当たりを良くし、病害虫の発生を抑える効果があります。ただし、剪定の時期や方法は植物によって異なるので、それぞれの特性を理解して行うことが大切です。

環境整備

マメコガネの予防には、庭や畑の環境整備も重要です。マメコガネは特定の環境を好むため、その環境を作らないようにすることで、被害を減らすことができます。

まず、庭や畑の清掃を定期的に行いましょう。落ち葉や枯れ枝、雑草などを放置すると、マメコガネの隠れ場所や産卵場所になってしまいます。これらをこまめに取り除くことで、マメコガネの生息しにくい環境を作ることができます。

土壌管理も重要です。マメコガネの幼虫は、有機物が多い土壌を好みます。そのため、未熟な堆肥の使用は避け、十分に発酵した堆肥を使用しましょう。また、土壌が過度に湿った状態が続くと、マメコガネの幼虫が生息しやすくなるので、適切な排水対策を行うことも大切です。

輪作も効果的な予防策の一つです。同じ場所で同じ作物を連作すると、マメコガネが増えやすくなります。特に、マメコガネが好むマメ科の植物は、2〜3年ごとに他の科の植物と交代で栽培するようにしましょう。

防虫ネットの活用

防虫ネットは、マメコガネの侵入を物理的に防ぐ効果的な方法です。特に、小規模な家庭菜園や鉢植えの植物の保護に適しています。

防虫ネットを使用する際は、目合いの大きさに注意が必要です。マメコガネの成虫は体長8〜15ミリメートルほどなので、それよりも小さい目合いのネットを選びましょう。一般的には、4ミリメートル以下の目合いのネットが効果的です。

ネットの設置方法も重要です。植物全体を覆うように設置し、地面との隙間をなくすことが大切です。ただし、ネットで覆いすぎると、植物の生育に悪影響を与える可能性があるので注意が必要です。特に、開花期の植物では、受粉のために一時的にネットを外す必要があるかもしれません。

防虫ネットは、マメコガネだけでなく、他の害虫の侵入も防ぐ効果があります。ただし、ネットの内側に既に害虫がいる場合は、逆に害虫を閉じ込めてしまう可能性があるので、設置前に植物をよく確認しましょう。

マメコガネ対策のための植栽計画

マメコガネに強い植物

マメコガネの被害を減らすには、マメコガネが好まない植物や、被害を受けにくい植物を選んで植栽することも効果的です。

マメコガネが好まない植物には、強い香りを持つハーブ類があります。例えば、ラベンダー、ローズマリー、タイム、ミントなどは、その香りがマメコガネを寄せ付けにくくします。これらのハーブを庭の周囲や、被害を受けやすい植物の近くに植えることで、マメコガネの侵入を防ぐ効果が期待できます。

また、マメコガネの被害を受けにくい植物もあります。例えば、シダ類、ホスタ、ヘメロカリスなどは、マメコガネの食害をあまり受けません。これらの植物を庭の主要な植栽として使用することで、マメコガネの被害を最小限に抑えることができます。

さらに、マメコガネの天敵となる生物を誘引する植物を植えるのも良い方法です。例えば、マリーゴールドやクレオメは、マメコガネの天敵であるタバコカスミカメを誘引する効果があります。

植物の配置と組み合わせ

マメコガネ対策を考慮した植栽計画では、植物の配置と組み合わせも重要です。

まず、マメコガネが好む植物と好まない植物を交互に配置することで、被害を分散させることができます。例えば、バラの周りにラベンダーを植えたり、マメ科の野菜の間にマリーゴールドを植えたりするのが効果的です。

また、マメコガネの好む植物を植える場合は、それらを集中させず、庭全体に分散させて植えることも大切です。これにより、一箇所に被害が集中することを防ぐことができます。

さらに、植物の高さを考慮した配置も効果的です。マメコガネは比較的低い位置を好むため、背の高い植物と低い植物を組み合わせて植えることで、被害を受けにくくすることができます。

最後に、多様性のある植栽を心がけることも重要です。様々な種類の植物を植えることで、生態系のバランスが保たれ、マメコガネだけでなく、他の害虫の発生も抑制することができます。

まとめ:効果的なマメコガネ対策

マメコガネ対策には、様々な方法があります。手作業での駆除、殺虫剤の使用、天敵の利用など、状況に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。また、予防策として植物の健康管理や環境整備を行い、マメコガネに強い植物を選んで植栽することも効果的です。これらの対策を組み合わせて実践することで、マメコガネの被害を最小限に抑えることができるでしょう。

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