繁殖力が強すぎ!ゼニゴケとは?対策方法からおすすめの除草剤まで徹底紹介!

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ゼニゴケは、昔から繁殖力が強い植物として扱われ、増えすぎたゼニゴケは処理したいと考えている方も多いでしょう。ゼニゴケを処理するには、どの除草剤が良いのか、また対策方法も知りたいものです。この記事では、ゼニゴケの対策についてご紹介します。

ゼニゴケの特徴と生態

ゼニゴケってどんな植物?

ゼニゴケは、ゼニゴケ科ゼニゴケ属の植物です。コケ植物の一種で、地面にへばりつくように平たく広がって生育します。名前の由来は、その形が小判(銭)に似ていることから「銭苔」と呼ばれるようになったと言われています。

ゼニゴケの植物体は葉状体と呼ばれ、長さは3から10センチメートルほどです。表面には鱗状の模様があり、二叉分岐を繰り返しながら成長していきます。葉状体の頂端部は心臓型に湾入しており、その付近が細胞分裂の活発な分裂組織(メリステム)となっています。

背面の中央部には杯状体と呼ばれる構造があり、その中に無性芽器が形成されます。また、背面の表皮の直下には気室が発達しており、気室孔を通じて外界とつながっています。葉状体の腹面側には、赤色の腹鱗片と褐色の仮根が分化しており、仮根は地面への固着に使われます。

ゼニゴケの驚くべき繁殖力

ゼニゴケの繁殖力の強さは、その生態にあります。ゼニゴケには雌株と雄株があり、雄株は円盤状の雄器托を、雌株は深裂した傘状の雌器托を持っています。雨が降ったり湿度が高くなったりすると、ゼニゴケの活動は活発化します。

水に濡れると、雌株と雄株は一気に有性生殖を始めます。雄株の雄器托の造精器で造られた精子が、雌株の雌器托で造られた造卵器に到達すると受精が行われ、複相の胞子体が形成されます。胞子体の内部で減数分裂が起こると、単相の胞子が形成され、これが発芽することで新たな個体が生まれます。

しかし、ゼニゴケの繁殖力の強さは、有性生殖だけではありません。無性芽と呼ばれる単細胞を由来とするクローン体を形成することによる無性生殖も行うのです。さらに、雌株だけで自己増殖が可能な点も、ゼニゴケの繁殖力を高めている要因です。

雄株は雌株よりも弱く、特に都市部では雄株の個体数は少なくなります。しかし、雄株が近くにいない環境でも、雌株は自己増殖によって生殖範囲を広げていくことができるのです。

また、ゼニゴケは胞子を飛ばす能力が高いことも、広範囲にわたって増殖する理由の一つです。胞子のうから次々と胞子を飛散させ、生殖範囲を広げていきます。このような特性により、ゼニゴケは一度生育を始めると、瞬く間に周囲に広がっていくのです。

ゼニゴケが好む環境

ゼニゴケが繁殖しやすい環境について理解することは、効果的な対策を立てる上で重要です。ゼニゴケが好む環境には、いくつかの特徴があります。

まず、ゼニゴケは暑すぎない日陰の場所を好みます。高温となる場所はあまり好みません。日光にさらされず湿気が高いジメジメとした場所が、活発な活動に最も適した環境です。実験材料として培養されているゼニゴケは、22度前後の環境で育てられています。30度を超えると育成力が弱まることからも、真夏の明るい場所を嫌うことがわかります。

「日陰」「湿気」という条件さえそろっていれば、あらゆる場所で繁殖する性質があります。自宅の庭はもちろん外壁や塀にも生育しますし、公園、道路の側溝、街中のビルにも生えるのです。

次に、ゼニゴケは湿度の高い場所を好みます。水のある環境や湿度の高い場所が大好きで、雨が降ると繁殖力はとても強くなります。それゆえ、梅雨の時期や雨が続いたときは、増殖に警戒が必要です。

一方で、高温に弱い性質で、気温が高い場所だとたとえ多湿であっても繁殖力は弱まります。高温多湿が特徴的な日本の夏は、ゼニゴケにとっては苦手な環境といえるでしょう。

湿度を好む一方で、乾燥や低い気温に強い傾向もあります。冬になっても枯れることなく、しぶとく年を越す生命力があるため、警戒を緩めることは禁物です。

最後に、土壌環境もゼニゴケの繁殖に大きく影響します。酸性の土壌は、ゼニゴケが繁殖するには絶好の条件です。湿気を好むゼニゴケですが、雨には土壌を酸性にする作用があり、より生殖に適した環境を生むことにつながります。

国内の一般的な土壌は、pH(ペーハー)が4.5~5.5の弱酸性で、水分量の範囲は5~35%とされています。苔類が好む生育環境を見ると、土壌pHが4.5~7.0、土壌の水分量が5~35%です。この数値を見ると、いかに日本の土壌がゼニゴケの繁殖にぴったりかがわかります。世界の中でも、日本が苔植物の種類が多い国として知られていることにも納得できます。

ゼニゴケの問題点

お庭や植物への影響

ゼニゴケが庭や植物に与える影響は、見た目の問題だけではありません。ゼニゴケが繁殖すると、さまざまな問題が生じる可能性があります。

まず、ゼニゴケは地面に密着して生育するため、他の植物の生育を阻害する可能性があります。特に、芝生や地被植物などの低い植物は、ゼニゴケに覆われてしまうと光合成ができなくなり、生育が妨げられます。

また、ゼニゴケは水分を保持する性質があるため、土壌の水はけを悪くする可能性があります。これにより、他の植物の根が腐りやすくなったり、病気にかかりやすくなったりする恐れがあります。

さらに、ゼニゴケが生育する環境は、他の害虫や病原菌の温床になる可能性もあります。湿った環境を好むナメクジやダンゴムシなどの害虫が増えたり、カビや菌類が繁殖したりする可能性があります。

美観への影響

ゼニゴケの繁殖は、庭や建物の美観に大きな影響を与えます。ゼニゴケが広がると、庭全体が緑色の絨毯で覆われたような状態になります。一見すると美しく見えるかもしれませんが、実際には庭の設計意図を損ねてしまう可能性があります。

特に、和風庭園や石庭などでは、ゼニゴケの繁殖は大きな問題となります。これらの庭園では、苔は重要な要素の一つですが、ゼニゴケは通常使用される苔とは異なり、美観を損ねる存在として扱われます。

また、ゼニゴケは建物の外壁や塀、石畳などにも生育します。これらの場所にゼニゴケが繁殖すると、建物や構造物の見た目が悪くなるだけでなく、長期的には劣化の原因にもなる可能性があります。

さらに、ゼニゴケが繁殖した場所は滑りやすくなるため、特に雨の日などは転倒の危険性が高まります。これは、美観の問題だけでなく、安全性の面でも注意が必要です。

ゼニゴケの対策方法

物理的な除去方法

ゼニゴケを物理的に除去する方法は、小規模な範囲であれば効果的です。ただし、ゼニゴケは地面にしっかりと張り付いているため、簡単には剥がれません。以下に、物理的な除去方法をいくつか紹介します。

まず、手作業での除去方法があります。ゼニゴケが薄く広がっている場合は、園芸用のヘラやスコップを使って、地面から削り取るように除去します。この方法は時間と労力がかかりますが、確実にゼニゴケを取り除くことができます。

次に、高圧洗浄機を使用する方法があります。高圧の水流でゼニゴケを吹き飛ばすことができます。ただし、この方法は周囲に水が飛び散るため、建物の近くや他の植物がある場所では注意が必要です。

また、ゼニゴケが厚く生育している場合は、まず表面を削り取ってから、残った部分に対して除草剤を使用するという方法もあります。この方法は、物理的な除去と化学的な除去を組み合わせることで、より効果的にゼニゴケを駆除することができます。

物理的な除去方法の注意点として、ゼニゴケの胞子や断片が周囲に飛び散らないように注意することが重要です。除去作業後は、取り除いたゼニゴケをビニール袋に入れて密閉し、適切に処分することをおすすめします。

環境改善による予防法

ゼニゴケの繁殖を予防するためには、環境を改善することが重要です。ゼニゴケが好む環境を避けることで、繁殖を抑制することができます。

まず、日当たりと通気性の改善が効果的です。ゼニゴケは日陰を好むため、庭の木々の剪定を行い、日光が地面に届くようにします。また、植物の間隔を適切に保ち、風通しを良くすることで、湿気がこもりにくい環境を作ることができます。

次に、排水性の改善も重要です。ゼニゴケは湿った環境を好むため、水はけの悪い場所に繁殖しやすくなります。土壌に砂や軽石を混ぜたり、排水溝を設置したりすることで、水はけを良くすることができます。

また、土壌のpH調整も効果的です。ゼニゴケは酸性土壌を好むため、石灰などのアルカリ性の資材を土壌に混ぜることで、pHを中性に近づけることができます。ただし、急激なpH変化は他の植物にも影響を与える可能性があるため、徐々に調整していくことが大切です。

定期的な庭の手入れも重要です。落ち葉や刈り草をこまめに取り除き、地面に湿気がこもらないようにします。また、庭の植物の適切な管理を行うことで、ゼニゴケが生育しやすい環境を作らないようにします。

最後に、ゼニゴケが好まない植物を植えることも一つの方法です。例えば、日陰でも育つ地被植物を植えることで、ゼニゴケの生育スペースを奪うことができます。ヒメイワダレソウやシバザクラなどは、日陰に強く、地面を覆うように広がるため、ゼニゴケの予防に効果的です。

おすすめのゼニゴケ除草剤

化学合成成分を含まない除草剤

環境や人体への影響を最小限に抑えたい方には、化学合成成分を含まない除草剤がおすすめです。その代表的な製品が「ゼニゴケ専用除草剤コケそうじ」です。

この製品は食品原料のみで作られており、人や環境に優しい安全な駆除剤です。主成分はグレープフルーツ種子抽出物で、散布後2〜3日でゼニゴケが枯れ始めます。10日から2週間後には完全に枯死し、その後自然に分解されて消えていきます。

使用方法は簡単で、水で10倍に希釈してジョウロや噴霧器で散布するだけです。ゼニゴケだけでなく、ギンゴケなど他のコケ類にも効果があります。ただし、イシクラゲには効果がないので注意が必要です。

化学合成成分を含む除草剤

より即効性や持続性を求める場合は、化学合成成分を含む除草剤も選択肢となります。「キレダー水和剤」や「コケレス粒剤」などが代表的な製品です。

キレダー水和剤は、ゼニゴケや藻類の専用除草剤です。散布後1週間程度でゼニゴケが枯れ始め、その後3か月程度発生を抑えることができます。非農耕地用なので、農作物や樹木・芝・花き等の栽培・管理には使用できません。

コケレス粒剤は、ゼニゴケをすばやく死滅させることができる非農耕地用の家庭用コケ専用駆除剤です。速効性があり、土壌中に入ると炭酸ガスと水に分解され自然物になります。ゼニゴケだけでなく、コケ類全般に効果があります。

除草剤の使用上の注意点

除草剤を使用する際は、以下の点に注意しましょう。

まず、使用前に製品の説明書をよく読み、適切な希釈率や使用量を守ることが重要です。過剰な使用は環境への悪影響や、周囲の植物にダメージを与える可能性があります。

次に、天候や時間帯にも注意が必要です。雨の降っていない晴れた日に散布するのが効果的です。雨が降っていたり、雨上がりの直後は表面が濡れていて薬液が浸透しにくくなります。

また、散布する際は、周囲の植物や水域に薬剤がかからないよう注意しましょう。特に、化学合成成分を含む除草剤を使用する場合は、より慎重な取り扱いが必要です。

最後に、除草剤の効果は一時的なものであり、根本的な環境改善を行わない限り、ゼニゴケは再び発生する可能性があります。長期的な対策として、日当たりや排水性の改善なども併せて検討することをおすすめします。

ゼニゴケ対策のまとめ

ゼニゴケの対策には、物理的な除去、環境改善、そして除草剤の使用など、さまざまな方法があります。状況に応じて適切な方法を選択し、継続的に対策を行うことが重要です。

除草剤を使用する場合は、環境への配慮や安全性を考慮して製品を選び、適切な使用方法を守ることが大切です。また、除草剤だけに頼らず、日当たりや排水性の改善など、根本的な環境改善も併せて行うことで、より効果的にゼニゴケの発生を抑制することができます。

ゼニゴケ対策は一度で完璧に解決できるものではありません。定期的な観察と管理を行い、必要に応じて対策を繰り返すことで、美しい庭や植物を長く楽しむことができるでしょう。

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