グランドカバーにおすすめなレイタータイムやクリーピングタイムをご存知でしょうか。育てる際には水やりや剪定などの管理、挿し木や肥料などの考慮が必要になります。レイタータイムの育て方や特徴などについて、詳しく掘り下げていきましょう。
レイタータイムの基本情報
レイタータイムとは
レイタータイムは、シソ科ジャコソウ属の多年草ハーブです。グランドカバー用に改良された匍匐性のタイムで、比較的新しい品種です。地面を覆うように横に広がって育つため、雑草対策にも役立ちます。レイタータイムは生長が速く、踏みしめにも強いのが特徴です。通路沿いや石、レンガや枕木の隙間に植えるのにも適しています。
特徴と魅力
レイタータイムの魅力は、その可愛らしい見た目と実用性にあります。モサモサとした小さな葉が密集して広がり、美しいグリーンのカーペットのような景観を作り出します。初夏から夏にかけて、淡いピンク色の小さな花を咲かせます。花が咲き終わると、全体がもふもふとした質感になり、独特の風合いを楽しむことができます。
レイタータイムは耐寒性と耐暑性に優れており、四季を通じて緑を保ちます。冬の寒さで地上部が枯れたように見えても、根は生きており、春になると新芽が出てきます。また、踏圧に強いため、家族が誤って踏んでしまったり、ペットが走り回ったりしても大丈夫です。自転車で踏んでも耐えられるほど丈夫です。
さらに、レイタータイムにはほのかな香りがあり、踏むと良い香りが漂います。この香りは虫除け効果もあるとされ、特にゴキブリを寄せ付けない効果があると言われています。
レイタータイムの育て方
植え付け
レイタータイムを植え付ける最適な時期は、暖かくなった春(3月から6月頃)か、暑い夏を過ぎた秋(9月から10月頃)です。植え付ける場所は、水はけが良く日当たりの良い場所を選びましょう。レイタータイムは乾燥を好むため、水はけの悪い粘土質の土は避けてください。
植え付けの際は、腐葉土よりも赤玉土をたくさん混ぜ込むと良いでしょう。これにより、水はけが良くなり、レイタータイムの生育に適した環境を作ることができます。植え付け後は、根付くまでの1週間程度はたっぷりと水を与えます。その後は、雨が降るのに任せても大丈夫です。
日当たりと場所選び
レイタータイムは日光を好みますが、完全な日向でなくても育ちます。日陰の場所でも生育は可能ですが、日当たりの良い場所に比べると花つきは良くありません。理想的には、1日5時間以上日光が当たる場所がおすすめです。
場所選びの際は、風通しも考慮しましょう。レイタータイムは湿気に弱いため、風通しの良い場所を選ぶことで、蒸れを防ぐことができます。特に梅雨時期は要注意です。建物の近くに植える場合は、エアコンの室外機からの風が直接当たらない位置を選びましょう。
水やり
レイタータイムは乾燥に強い植物です。基本的に、植え付け時と増やす時以外は水やりの手間がほとんどかかりません。自然降雨だけで十分な場合がほとんどです。ただし、長期間の晴天が続く場合は、地表から2~3cmの深さの土が完全に乾いているかどうかを確認し、乾いていれば水を与えましょう。
水やりをする際は、水道水をろ過し、常温もしくは少し高めの温度の水を使うのがおすすめです。冬場は生育が遅くなるため、やや乾燥気味に育てると良いでしょう。水やりをしすぎると、レイタータイムの葉や茎がしおれて黄色に変色したり、カビが生えて根腐れを起こし、枯れてしまう可能性があるので注意が必要です。
土作りと肥料
レイタータイムは痩せた土地でもよく育つ丈夫な植物です。そのため、肥料は最小限で構いません。基本的には、植え付け時に元肥を与え、春と秋の成長期に2週間に1回程度、規定量の追肥をする程度で十分です。
追肥には、粒状肥料や液体肥料を使用すると良いでしょう。ただし、肥料を与えすぎると葉が柔らかくなり、病害虫の被害を受けやすくなる可能性があるので、適量を守ることが大切です。
土作りの際は、水はけの良い土を心がけましょう。赤玉土とバーミキュライトを半々くらいに混ぜた土が、レイタータイムの生育に適しています。これにより、根の張りが良くなり、健康的な成長を促すことができます。
レイタータイムの管理方法
剪定と刈り込み
レイタータイムの管理で最も重要なのが、適切な剪定と刈り込みです。剪定は年に1回、梅雨時期の前に行うのが理想的です。これにより、蒸れを防ぎ、健康的な成長を促すことができます。
剪定の際は、全体の高さの半分くらいまで刈り込みます。これにより、風通しが良くなり、梅雨時期の蒸れを防ぐことができます。刈り込みは、面積が狭い場合はハサミで、広い場合は芝生バリカンや草刈り機を使用すると効率的です。
刈り込んだ後のゴミは必ず回収してください。放置すると、蒸れの原因になる可能性があります。また、花が咲いてしまうと花柄が一面に残り、蒸れて枯れてしまうこともあるので、花が咲く前に刈り込むのも一つの方法です。
病害虫対策
レイタータイムは比較的病害虫に強い植物ですが、完全に無縁というわけではありません。特に注意が必要なのは、ベニフキノメイガとコガネムシです。
ベニフキノメイガは、メイガの仲間で細長い芋虫タイプの幼虫です。大きさは7mm〜8mmほどで、夏に活発になります。被害を受けたレイタータイムは、葉にクモの糸のようなものが絡まって見えたり、一部分だけ枯れた葉が多く見られたりします。また、小さなフンも目立つようになります。
対策としては、早期発見と駆除が重要です。見つけたら直ちに取り除き、被害が広がる前に対処しましょう。また、防虫ネットを設置するのも効果的です。プランターや鉢の場合でも、支柱を立ててネットをかけることができます。
コガネムシについては、成虫が葉を食べる被害が見られることがあります。対策としては、手で捕まえて駆除するか、市販の殺虫剤を使用することができます。ただし、薬剤を使用する場合は、レイタータイムへの影響を考慮し、適切な製品を選択しましょう。
冬越しの方法
レイタータイムは耐寒性が強い植物ですが、寒冷地では冬越しの対策が必要になることがあります。基本的には、特別な対策をしなくても越冬は可能ですが、より確実に冬を越させたい場合は、以下の方法を試してみてください。
まず、霜柱が立ちやすい地域では、地面に薄く腐葉土やバークチップを敷くと良いでしょう。これにより、地温の急激な変化を防ぐことができます。また、寒冷紗をかけることも効果的です。ただし、完全に覆い隠すのではなく、風通しを確保するために少し隙間を作るのがポイントです。
冬場は水やりを控えめにし、乾燥気味に管理します。過湿は根腐れの原因になるので注意が必要です。また、積雪地域では、雪の重みでレイタータイムが傷まないよう、雪囲いを設置するのも良いでしょう。
春になり、気温が上がってきたら、枯れたように見える部分を軽く刈り込みます。これにより、新芽の成長を促すことができます。
レイタータイムの増やし方
挿し木の方法
レイタータイムは挿し木で簡単に増やすことができます。挿し木の手順は以下の通りです。
まず、元気そうな若い枝先を5〜10cm程度の長さに切り取ります。切り取った枝(挿し穂)を2時間ほど水につけ、十分に水を吸わせます。次に、挿し芽用の土または赤玉土とバーミキュライトを半々くらいに混ぜたものを9cmポットに入れて準備します。
挿し穂を5cmほどの長さに切りそろえ、用意したポットに割り箸で穴を空け、2〜3cmの深さで挿し穂を挿します。その後、1週間ほど日陰で管理し、水が切れないように注意します。1週間ほど経過したら日当たりの良い場所に移動させ、1ヶ月ほどしたら庭に植えることができます。
挿し木の適期は、新芽の出やすい春から初夏(5〜6月)が最もおすすめです。秋(9月下旬〜10月)にも新芽が活発に出てくるので、この時期も挿し木に適しています。
株分けの方法
レイタータイムの株分けは比較的簡単です。横に匍匐した枝は根を出しながら横に広がっていくため、根付いてしばらくたてば株分けが可能になります。
株分けの手順は以下の通りです。まず、分割したい部分を選びます。スコップなどで、その部分を土ごと切るように掘り上げます。全体を掘り上げる必要はなく、分割する部分だけを掘り上げれば十分です。
掘り上げた株は、根を傷めないように注意しながら、手で優しくほぐします。株分けした後は、すぐに新しい場所に植え付けるか、ポットに植え替えます。植え付け後は、根付くまでしっかりと水やりを行います。
株分けの適期は、植物の活動が活発になる春か、暑さが和らぐ秋です。真夏や真冬は避けましょう。また、株分けの際は、元の株にも十分な根が残るように注意することが大切です。
レイタータイムの活用法
グランドカバーとしての利用
レイタータイムは、その匍匐性と丈夫さから、優れたグランドカバーとして活用できます。芝生のような使い方ができ、雑草対策としても効果的です。特に、通路沿いや石畳の隙間、レンガや枕木の間など、細かい場所にも生育できるのが特徴です。
グランドカバーとして利用する際は、植え付け時に適度な間隔を空けて植えることが大切です。初めは隙間が目立つかもしれませんが、成長とともに広がり、美しいグリーンのカーペットを形成します。また、踏圧に強いため、歩道や庭の小道など、人が歩く場所にも適しています。
グランドカバーとしての緑を維持するコツは、定期的に刈り込むことで花を咲かせないようにすることです。花が咲き終わると花の一部が茶色となって残り、枯れたように見えてしまうため、グランドカバーとして育てる場合は花が咲かないようにするのが良いでしょう。
寄せ植えやハーブガーデンでの活用
寄せ植えやハーブガーデンでの活用は、レイタータイムの魅力を存分に引き出すことができます。小さな葉と可愛らしい花が、他の植物との組み合わせで美しいコントラストを生み出します。寄せ植えの際は、水はけの良い土を使い、レイタータイムが他の植物に覆われすぎないよう注意しましょう。
ハーブガーデンでは、レイタータイムを縁取りや小道沿いに植えると、歩くたびに香りを楽しむことができます。また、岩や石の隙間に植えると自然な風景を演出できます。レイタータイムは他のハーブとも相性が良く、ラベンダーやローズマリーなどと組み合わせると、香りと色のバランスの取れたガーデンを作ることができます。
レイタータイムの注意点とトラブル対処
多湿対策
レイタータイムの最大の弱点は多湿に弱いことです。特に梅雨時期や長雨の際には注意が必要です。多湿対策として、植え付け時に赤玉土やパーライトを混ぜて排水性を高めることが効果的です。また、地植えの場合は少し盛り上げて植えることで、根元に水が溜まりにくくなります。
多湿による被害が見られた場合は、すぐに対処することが大切です。枯れた部分を取り除き、周囲の土を軽く掻き起こして乾燥させます。その後、天気の良い日を選んで薄く腐葉土をまくと、回復を促すことができます。
蒸れ防止の方法
蒸れは多湿と同様にレイタータイムにとって大敵です。蒸れを防ぐためには、適切な間隔を空けて植えることと、定期的な刈り込みが重要です。梅雨前に全体の高さの半分程度まで刈り込むことで、風通しが良くなり蒸れを防ぐことができます。
また、地面に敷き藁やバークチップを薄く敷くことも効果的です。これにより地面の温度変化を緩和し、蒸れを防ぐことができます。ただし、厚く敷きすぎると逆効果になるので注意が必要です。
レイタータイムは病害虫に強い植物ですが、蒸れや多湿によって弱った株は病気にかかりやすくなります。日頃から株の状態をよく観察し、異変があればすぐに対処することが大切です。
まとめ
レイタータイムは、その可愛らしい見た目と丈夫さから、多くのガーデニング愛好家に愛されています。グランドカバーとしての利用や、寄せ植え、ハーブガーデンでの活用など、様々な場面で活躍します。育て方のポイントを押さえ、多湿と蒸れに注意すれば、美しい緑のカーペットを長く楽しむことができます。レイタータイムを育てて、あなたの庭やベランダに素敵な緑のアクセントを加えてみてはいかがでしょうか。