Temuの人気が急上昇中ですが、実は気をつけるべき商品もあります。安くて魅力的に見えても、品質や安全性に問題がある場合も。今回は、Temuで避けるべき商品と、賢い買い物の仕方をご紹介します。
Temuで買わない方がいい商品
電化製品とバッテリー内蔵製品にご用心
Temuで販売されている電化製品は、価格の安さに惹かれて購入する方も多いですが、実際には品質が劣る場合があります。特に、日本で販売が許可されていない中国製の格安電化製品は安全基準を満たしていないことがあり、火災やショートのリスクが高まる恐れがあります。
また、保証がない製品も多いため、故障した際に修理や交換が難しいことも。さらに海外製品のためプラグや電圧が異なることもあります。電化製品は品質と安全性を重視するため、信頼できるブランドから購入するのが賢明です。
バッテリー内蔵製品も要注意です。特に、スマートフォンやタブレットの充電器、モバイルバッテリーなどは、品質が低いと発火や爆発の危険性があります。これらの製品は、安全性が確認された日本国内のメーカーや信頼できる販売店から購入することをおすすめします。
子ども向けの大型遊具や玩具は慎重に
子ども向けの大型遊具や玩具も、Temuでの購入には注意が必要です。これらの製品は、安全性が最も重要視される商品カテゴリーの一つです。日本の厳しい安全基準を満たしていない可能性があり、使用中の事故や怪我のリスクが高まります。
例えば、ブランコやすべり台などの大型遊具は、組み立ての際の不備や材質の問題で思わぬ事故につながる可能性があります。また、小さな部品が含まれる玩具は、誤飲の危険性があります。子どもの安全を第一に考え、これらの商品は国内の信頼できる販売店で購入することをおすすめします。
食品と化粧品は避けるべき
Temuで食品や化粧品を購入することは、健康上のリスクを伴う可能性があります。食品の場合、輸送中の品質管理や賞味期限の問題、さらには日本の食品衛生法に適合していない可能性があります。
化粧品についても同様で、日本の厳格な基準を満たしていない製品が含まれている可能性があります。肌トラブルや健康被害のリスクを避けるためにも、食品と化粧品は国内の信頼できる販売店で購入することをおすすめします。
自転車や大型スポーツ用品は要注意
自転車や大型スポーツ用品もTemuでの購入には注意が必要です。これらの商品は、安全性と耐久性が非常に重要です。Temuで販売されている自転車や大型スポーツ用品は、日本の安全基準を満たしていない可能性があります。
また、組み立てや調整が必要な商品の場合、適切な説明書が付属していないことも多く、正しく組み立てられないと事故のリスクが高まります。さらに、アフターサービスや部品の交換が難しい点も考慮すべきです。これらの商品は、専門店や信頼できる販売店で購入し、適切なアドバイスや保証を受けることをおすすめします。
Temuで安全に買い物するコツ
レビューをしっかりチェック
Temuで安全に買い物をするためには、商品のレビューをしっかりとチェックすることが重要です。他の購入者の経験や感想は、商品の品質や信頼性を判断する上で貴重な情報源となります。
レビューを見る際は、単に星の数だけでなく、具体的なコメントにも注目しましょう。特に、商品の耐久性、使用感、配送状況などに関する詳細な情報は非常に参考になります。また、複数の購入者が同じような問題点を指摘している場合は、その商品の購入を再考する必要があるかもしれません。
ただし、レビューの中には偽のものや、極端に良いものや悪いものがある可能性もあります。バランスの取れた判断をするために、できるだけ多くのレビューを読むことをおすすめします。
素材と品質を確認
Temuで商品を選ぶ際は、素材と品質の確認が非常に重要です。商品説明をよく読み、使用されている素材や製造方法について詳細な情報があるかどうかをチェックしましょう。
特に、衣類や家庭用品の場合、素材の質が商品の耐久性や使用感に大きく影響します。例えば、100%コットンと表記されているものが実際にはポリエステルが混ざっていたり、「本革」と謳われているものが実は合成皮革だったりすることもあります。
また、商品の写真をよく見て、縫製の質や仕上がりの細部にも注目しましょう。高解像度の写真が提供されている場合は、拡大して細かい部分まで確認することができます。
品質に関する疑問がある場合は、販売者に直接問い合わせることも有効です。多くの場合、誠実な販売者は詳細な情報を提供してくれるはずです。
サイズ表を必ず見る
Temuで衣類や靴、家具などを購入する際は、サイズ表を必ず確認することが重要です。海外製品の場合、日本のサイズ表記とは異なることが多いため、単純に「Mサイズ」や「Lサイズ」といった表記だけで判断するのは危険です。
サイズ表には通常、具体的な寸法が記載されています。例えば、衣類の場合は胸囲、ウエスト、肩幅、袖丈などの詳細な寸法が示されているはずです。これらの数値を、自分の体型や好みのフィット感と照らし合わせて選択しましょう。
また、靴のサイズは特に注意が必要です。国や地域によってサイズ表記が大きく異なるため、センチメートル表記のサイズを確認することをおすすめします。
家具や家電製品の場合も、設置スペースとの兼ね合いで寸法の確認は重要です。特に、海外製品は日本の住環境に合わないサイズの場合もあるので、注意が必要です。
サイズに関して少しでも不安がある場合は、販売者に問い合わせるか、若干大きめのサイズを選ぶことをおすすめします。多くの場合、小さすぎるよりは少し大きい方が調整しやすいからです。
Temuの危険性と問題点
個人情報の扱いに注意
Temuを利用する際、個人情報の扱いには十分な注意が必要です。オンラインショッピングサイトである以上、ある程度の個人情報の提供は避けられませんが、必要以上の情報を提供しないよう気をつけましょう。
Temuのプライバシーポリシーによると、ユーザーの個人情報は主に注文処理、カスタマーサービス、マーケティングなどの目的で使用されるとされています。しかし、一部のユーザーからは、Temuアプリが必要以上の権限を要求するという指摘もあります。
特に注意が必要なのは、支払い情報の扱いです。クレジットカード情報を保存する機能がありますが、セキュリティ上のリスクを考慮すると、毎回入力する方が安全です。また、PayPalなどの第三者決済サービスを利用するのも一つの方法です。
さらに、SNSアカウントとの連携機能には慎重になるべきです。これにより、Temuがあなたのソーシャルメディア上の情報にアクセスできる可能性があります。必要がない限り、この機能は使用しない方が良いでしょう。
個人情報の保護に関しては、強力なパスワードの使用、二段階認証の設定、定期的なパスワード変更など、基本的なセキュリティ対策を忘れずに行いましょう。
並行輸入品のリスク
Temuで購入する商品の多くは並行輸入品である可能性が高く、これにはいくつかのリスクが伴います。並行輸入品とは、正規の輸入代理店を通さずに輸入された商品のことを指します。
まず、品質保証の問題があります。並行輸入品は、メーカーの正規保証が適用されないことが多いです。故障や不具合が発生した場合、修理や交換が困難になる可能性があります。
また、日本の安全基準や規制に適合していない可能性もあります。特に電化製品や化粧品、食品などは、日本の厳格な基準を満たしていない場合があり、使用時のリスクが高まる可能性があります。
さらに、並行輸入品は日本語の説明書や保証書が付属していないことが多いです。これは、商品の正しい使用方法や注意事項を理解する上で大きな障害となる可能性があります。
税関での問題も考慮する必要があります。一部の並行輸入品は、輸入時に関税や消費税が課される場合があります。これにより、予想外の追加費用が発生する可能性があります。
これらのリスクを考慮すると、特に高額な商品や安全性が重要視される商品については、並行輸入品の購入には慎重になるべきです。可能な限り、日本の正規販売店や信頼できる販売元から購入することをおすすめします。
SHEINとの比較:似た問題を抱えるファストファッション
環境への影響
TemuとSHEINは、共にファストファッション業界で急成長を遂げている企業ですが、両社とも環境への影響という点で批判を受けています。
ファストファッションの特徴である大量生産・大量消費のビジネスモデルは、環境に大きな負荷をかけています。例えば、衣料品の生産過程では大量の水を使用し、有害な化学物質を排出します。また、安価な合成繊維の使用は、マイクロプラスチックによる海洋汚染の一因となっています。
さらに、両社の商品は使い捨てを前提としたデザインや品質であることが多く、これは廃棄物の増加につながります。衣料品の廃棄量は年々増加しており、その多くが埋め立てや焼却処分されることで、環境への負荷が更に高まっています。
また、両社の商品は主に中国やその他のアジア諸国で生産されており、長距離輸送による二酸化炭素排出も環境問題の一つとなっています。
このような環境への影響を考慮すると、消費者としては商品を選ぶ際に、その必要性や耐久性をよく考える必要があります。また、リサイクルやアップサイクルなど、衣料品の寿命を延ばす取り組みにも注目が集まっています。
労働環境の問題
TemuとSHEINは、労働環境の問題でも批判を受けています。両社の商品の多くは、労働基準が十分に整備されていない国々で生産されており、労働者の権利や安全が適切に保護されていない可能性があります。
低賃金労働は、ファストファッション業界全体の問題点の一つです。極端に安い価格設定を実現するために、生産コストを抑える必要があり、その結果として労働者の賃金が犠牲になっている可能性があります。
また、長時間労働や劣悪な労働環境も指摘されています。一部の報道では、SHEINの工場で1日12時間以上の労働や、週に1日しか休みがない状況が報告されています。
さらに、児童労働の問題も懸念されています。サプライチェーンの透明性が低いため、生産過程で児童労働が行われていないという保証が得られにくい状況です。
これらの問題に対し、両社とも改善の取り組みを行っていると主張していますが、第三者機関による監査や詳細な情報開示が不十分であるという批判も存在します。
工場の過酷な労働環境
働者の権利や安全が適切に保護されていない可能性があります。イギリスのChannel 4のドキュメンタリー「Untold: Inside the Shein Machine」の潜入調査によると、SHEINの労働者は1日11時間、1カ月に29日間働くことが頻繁にあり、休日は月にたった1日であることが報告されました。さらに、2つの縫製工場では1日18時間勤務という長時間労働を強制していることも明らかになりました。
また、ある工場では基本給がなく、服を1着作るごとにわずか0.27元(約6円)しか支払われず、ミスをすると罰金が課されるなど、劣悪な労働環境が明かされています。これらの問題は、SHEINだけでなくファストファッション業界全体の課題となっています。
プラスチック素材の使用
SHEINは広告でリサイクル素材の使用などサステナブルな取り組みをアピールしていますが、実際にはプラスチック素材を多用しています。女性服の60%近くがポリエステル製であり、5万5,000点の女性服のうちリサイクルされたポリエステルを使用した商品はわずか237点のみでした。
ポリエステルやナイロン、アクリルなどの石油由来の素材を多用することは、環境に大きな負荷をかけています。ファッション業界全体で毎年、スペイン全土と同じ量の石油を使用しているという事実は驚くべきものです。さらに、ポリエステルの主要メーカー2社がロシアから石油を調達しているため、この依存関係がウクライナでの戦争に拍車をかけている可能性もあります。
また、プラスチック繊維の洋服を洗濯する際に流出するマイクロプラスチックは、海を汚染するマイクロプラスチックの35%を占めています。安価で使い捨てられるプラスチック繊維の洋服を大量に売り続けることは、環境への大きな影響が懸念されます。
SHEINのグリーンウォッシュ
SHEINは環境への配慮をアピールするため、2022年6月にガーナの繊維廃棄物労働者と協力しているNGOに1,500万ドルを寄付すると発表しました。また、環境正義、教育、ファッション開発の分野で活躍する環境NGOであるOr Foundationと生産者責任基金を設立しました。
しかし、これらの取り組みは、SHEINの根本的なビジネスモデルを変えるものではありません。SHEINは地球の貴重な資源の浪費に依存し、持続可能性とは程遠いビジネスモデルを確立しながら、寄付や基金団体の設立など環境へ配慮していると見せかけることで現在のビジネスモデルを維持しようとしています。
このような企業の行動は「グリーンウォッシュ」と呼ばれ、環境問題に対する真摯な取り組みとは言えません。SHEINのような生産者は、サプライチェーン全体を通じて引き起こされた環境と健康への問題を解決するために、金銭的な責任だけでなく、ビジネスモデル自体の変革を検討する必要があります。
先進国から送られたごみの山
ファストファッションの過剰生産により、経済先進国から経済後進国へ輸送される古着が増加しています。2019年にケニアに輸送された古着は185,000トンに達し、そのうち約30~40%は市場価値がないため、55,500~74,000トンが繊維廃棄物となりました。
これは毎日約150~200トン、トラック60~75台分の繊維廃棄物が、捨てられたり、燃やされたり、埋立て場に送られることを意味します。この問題は、ファストファッションの生産・消費サイクルが引き起こす深刻な環境問題の一つです。
ファッションブランド、そして私たちにできること
SHEINのようなウルトラファストファッションの流行によって、衣服は使い捨ての包装のようなアイテムに変わってしまいました。この状況を改善するには、ファストファッションアイテムの生産・販売を大幅に減少させる必要があります。
グローバルなファッションブランドは、生産する数を減らし、より高品質で長持ちし、修理や再利用が可能な服を生産するビジネスモデルに完全に移行する必要があります。消費者である私たちも、ファストファッションに頼らずにおしゃれを楽しむ方法を見つけることが大切です。
例えば、持っている服を捨てる前に修理したり、誰かと交換したり、新品を購入する前にセカンドハンドでお気に入りを見つけたりすることができます。洋服の寿命を1年から2年に伸ばすだけで、温室効果ガスの排出を年間24%削減することができるという事実は、私たち一人一人の行動が環境に大きな影響を与えることを示しています。
グリーンピースは2011年からアパレル産業に対して、有害物質の使用と排出を撤廃するよう呼びかけるキャンペーンを実施しています。2018年までに、ユニクロやナイキ、リーバイスなど、世界シェアにして15%を占める80社からの合意を獲得しています。このような取り組みは、ファッション業界全体の変革を促す重要な一歩となっています。
私たち消費者も、自分の購買行動を見直し、環境に配慮したファッションの選択をすることで、この変革の一翼を担うことができます。長く愛用できる質の高い服を選び、リペアやリユースを積極的に行うことで、ファッションを楽しみながら環境への負荷を減らすことができるのです。