インターネットにつながっているのに、インターネットが見られない。
何を言っているのかわからないかもしれないが、フレッツ光の契約移転などでは、こんな妙な状況に遭遇することがある。
GoogleなどのIPv6対応サイトは普通に表示される。それなのに、IPv4にしか対応していないWebサイトを開こうとすると、エラーになる。
原因は、IPv6 IPoEによる通信はできているものの、IPv4を利用するための接続がまだ使えない、といった状態にあることだ。
普通なら開通を待つか、接続設定を見直すところだが、ふと思いついた。
「自分の回線から見られないなら、ChatGPTに代わりに見てもらえばいいのでは?」
そこで役に立ったのが、ChatGPTから利用できる「TinyFish」というWeb操作ツールだった。
IPv6は使えるのにIPv4が使えないという不思議
フレッツ光などで使われているIPoEは、従来のPPPoEとは異なるインターネット接続方式だ。
IPv6によるIPoE接続だけでは、IPv4専用サイトへそのまま接続することはできない。
そこで一般的には「IPv4 over IPv6」と呼ばれる技術が利用されている。v6プラスなどで使われるMAP-Eや、transixなどで使われるDS-Liteが代表例だ。
ところが、回線の移転やプロバイダーの切り替え、ルーターの設定変更などによって、IPv6の通信はできても、IPv4 over IPv6がまだ正常に動作しないことがある。
こうなると、例えば次のような状況になる。
- IPv6対応サイトは普通に表示される。
- IPv4専用サイトは接続エラーになる。
- ChatGPTなど、IPv6で利用できるサービスは動作する場合がある。
- インターネット全体が故障したわけではないので、原因がわかりにくい。
IPv6対応サイトが増えた現在では、普段どおりに使えるサイトと使えないサイトが混在するため、余計にややこしい。
そこでChatGPTのTinyFishを使ってみた
今回の発想は実に単純だった。
自分のパソコンからIPv4サイトに接続できなくても、別の場所にあるコンピューターなら閲覧できるかもしれない。
ChatGPTには「TinyFish」という、Webサイトを閲覧したり、ブラウザを操作したりできるプラグインがある。
TinyFishは、AIから指示を受けてWebページを調査できる仕組みだ。必要に応じてクラウド側のブラウザを利用し、ページを開いたり、リンクをたどったりすることができる。
つまり、自宅のパソコンがIPv4サイトを閲覧できない状態でも、TinyFish側のネットワークから目的のサイトに接続できれば、その内容を代わりに確認してもらえる。
実際にChatGPTからTinyFishを使って調べてもらうと、自分の環境では閲覧に困っていた情報を確認することができた。
IPv4の通信環境を直したわけではないのに、必要なWeb情報だけは手に入った。
これはなかなか面白い。
使い方は「代わりに見てきて」と頼むだけ
TinyFishを使える状態にしておけば、ChatGPTには例えば次のように頼めばよい。
現在、IPv6 IPoE接続は使えていますが、IPv4サイトにアクセスできません。
次のURLをTinyFishで開いて、ページの内容を確認してください。
URL:https://example.com/
重要な内容を要約して、必要なリンクや手続き方法を教えてください。
閲覧だけにとどめ、申込や送信などは実行しないでください。
もちろん、上記のURLは実際に調べたいサイトへ置き換える。
ポイントは、ブラウザの操作方法ではなく、何を確認してきてほしいのかを自然な言葉で伝えればよいというところだ。
ページ内の案内を読んで必要な情報を抜き出してもらったり、関連ページを探してもらったりすることもできる。
従来ならVPNや別回線が必要だったところを
IPv4でしかアクセスできないサイトを見るためには、従来なら別の通信経路を用意する方法が考えられた。
- スマートフォンのモバイル回線に切り替える。
- IPv4通信ができる別のインターネット回線を利用する。
- 適切な接続先を持つVPNを使用する。
- IPv4 over IPv6の設定や開通状況を確認する。
もちろん、これらは現在でも有効な解決方法だ。
しかし、目的が「サイトに掲載されている情報を読みたいだけ」であれば、必ずしも自分のパソコンから直接接続する必要はない。
AIに見に行ってもらい、結果だけを受け取ればよいからだ。
昔なら「自分の通信環境を何とかする」ことしか考えなかったが、今は「別の場所にいるAIに見に行ってもらう」という選択肢ができたわけだ。
TinyFishがIPv4接続を修復したわけではない
ただし、ここには大切な注意点がある。
TinyFishは、IPv4 over IPv6の開通手続きを代行したり、パソコンのネットワーク設定を修復したりするためのものではない。
また、TinyFishのブラウザ環境が接続できないサイトもある。ログインやアクセス制限が必要なサイトを無条件に開けるわけでもない。
今回のような使い方は、あくまでも自分の回線から接続できないWebサイトを、別の通信環境を持つAIのブラウザから閲覧してもらうというものだ。
特に契約変更などでは個人情報を扱うこともあるため、認証情報やパスワードを安易に渡さず、まずは情報収集だけに利用するのが無難だろう。
IPv4の通信を完全に復旧させるには、契約しているプロバイダーやルーターの接続方式を確認する必要がある。
AIが「情報を取りに行く」時代の便利な使い道
今回の出来事で面白かったのは、ChatGPTを単なる質問回答サービスとして使ったのではないことだ。
これまでは、人間がブラウザを開いて情報を探し、その内容をAIに渡すことが多かった。
しかしTinyFishのような仕組みを使えば、AI自身がブラウザを操作して調査できる。
しかも、そのブラウザは必ずしも自分のパソコン上にある必要がない。
これは通信トラブルに限らず、普段の調べ物にも応用できそうだ。
例えば、複数のサイトを巡って料金や条件を比較したり、目的の情報がどこに掲載されているのか探したりする作業も、AIに任せられる。
今回のようにネットワーク環境に問題があるときには、その便利さが思わぬ形で発揮される。
まとめ:ネットが不自由でも、AIに頼れる場合がある
フレッツ光の契約移転などで、IPv6だけが使えてIPv4サイトが開けなくなった場合、根本的にはIPv4 over IPv6などの接続環境を整える必要がある。
とはいえ、今すぐ必要なのがWebサイトに書かれた情報だけなら、復旧するまで何もできないとは限らない。
ChatGPTからTinyFishを使い、別の環境でWebページを調べてもらうという方法がある。
「自分でアクセスできないなら、AIにアクセスしてもらえばいい」
通信技術の進歩で生まれたちょっとした不便を、今度はAIの進歩が補ってくれる。
そんな、なんとも現代らしいトラブル解決方法だった。
